少ない観測データから人の流れを予測 ―量子技術で案内板配置を支援―
30分ごとの人数観測と量子アニーリングを模した計算から人流を予測し、オープンキャンパスで案内板配置を支援しました。
関連研究論文 ↗
Mathematical and Informatics
常に新しく、
ちょっと変わったことを
数理科学や物理学の知見を生かし、
情報統計力学の醸成、量子機械学習の発展、量子計算の応用を目指します。
RESEARCH UPDATES
30分ごとの人数観測と量子アニーリングを模した計算から人流を予測し、オープンキャンパスで案内板配置を支援しました。
関連研究論文 ↗APS Open Science
キューアンドエーとの共同研究で、量子アニーリングを使ったスカウト採用と人材の相補性の最適化を研究し、AQC2026で発表しました。
Scientific Reports
関連プレスリリース ↗Physical Review Research
RESEARCH / THEORY · METHODS · APPLICATIONS
搬送の最適化から、生成モデル、量子情報、材料探索へ。
問題の構造を捉え、解き方をつくる研究。
量子アニーリング・最適化 · 2019
工場の無人搬送車(AGV)が交差点で待ち合うと、搬送の効率が落ちます。車両を個別に動かすのでなく、同時刻に使う通路まで含めて経路を選びます。
現在位置と搬送タスクから、停止を含む短時間の移動候補を作成。進める距離と経路選択・衝突の制約をQUBOへ写し、解を選別して次の時間区間へ進む制御を繰り返しました。
実工場の配置で10台を動かすシミュレーションでは、稼働車の割合は従来ルールの80%に対し、D-Waveで平均94.2%、改良した整数計画で96%でした。全体で少し先の移動を調整することが、待ち時間の削減につながります。
搬送の現場で必要な制約を設計し、量子・古典の双方で評価できる最適化問題へつなげました。目的関数の値だけでなく、実際の稼働を見て問題の表現を改善する道を示しています。

© 2019 Ohzeki, Miki, Miyama and Terabe. Figure 2, Frontiers in Computer Science. 原論文 / CC BY 4.0。原図を変更せず掲載。
01各車両が交差点で待つ
02少し先の移動をまとめて調整
交差点ごとの判断から、複数台の移動をまとめて調整する制御へ
稼働車割合は原論文Table 1。実工場配置に基づくシミュレーションの結果。
情報統計力学 · 2020
制約を二乗の罰則として入れると、多くの変数同士が結ばれます。接続の限られた量子アニーラでは、この密な結合を載せるために多数の量子ビットが必要になります。
密な結合を生む二乗の制約項を、Hubbard–Stratonovich変換などで補助変数に依存する線形項へ移します。装置の応答と制約との差を使って補助変数を更新し、再び装置へ問い合わせます。
数の分割、連立方程式、仙台・京都の交通流最適化を題材に方法を検証。密な制約をそのままハードウェアへ埋め込む負担を避ける道を示しました。
密な結合を生む制約を補助変数へ移すことで、限られたハードウェアの接続を活かして、より大きな問題を扱う選択肢を広げました。
01二乗の制約項:変数間の密な結合
02補助変数に依存する線形項へ黄色の点:古典側で調整する補助変数
03残る目的結合を持つ装置へ問い合わせ
04応答を見て補助変数を更新
応答と制約との差を、次の補助変数の更新へ戻す ↶
密な制約を、装置の外で調整する道を開く
変換対象は二乗の制約項。元の目的関数が持つ結合は残り、密グラフ全体を一度で疎な鎖へ変換する方法ではありません。
機械学習・確率ダイナミクス · 2025
拡散モデルは、データと扱いやすい事前分布を確率的な過程で結びます。通常のモデルは逆向きの生成過程を学びますが、Schrödinger bridge型では順方向も学習し、その目的関数の意味が見えにくくなります。
データから事前分布への過程を「符号化」、逆方向を「復元」と捉え、変分オートエンコーダを連続した潜在変数の経路へ拡張。データ処理不等式から学習の目的関数を導きました。逆方向では、データの分布へ近づく変化を学び、ノイズからデータらしいサンプルを生成します。
目的関数を「事前分布へ近づける損失」と「逆向きの変化を合わせるドリフト整合」に分解。掲載版の2次元分布の実験では、先に安定した符号化側の学習を途中で止め、生成側を続けることで、学習の計算負担を減らし、過学習を緩和しました。
生成モデルをVAEの拡張として理解するだけでなく、学習のどの部分をいつ止めるかという、具体的な学習手順へつなげた成果です。
01データ分布
02途中の確率分布
03事前分布(ノイズ)
データ → 事前分布:符号化を学ぶ
データ ← 事前分布:生成を学ぶ
符号化側を先に固定し、生成側の学習を続ける
Phys. Rev. Research 7, 033213(2025)、式(21)・第V節・図2–3。図は学習手順の概念図。
スパースモデリング · 2017
量子モンテカルロで得た虚時間データから、実周波数のスペクトルを求める解析接続は不安定です。小さな雑音でも、推定結果に大きな偽のピークが現れます。
積分核を特異値分解し、情報を効率よく表す基底へ変換。L₁正則化と非負性・総和の条件で推定し、正則化の強さは残差のλ依存に現れる折れ曲がりから選びます。
雑音を含むデータから安定した解析接続を行う方法を示し、細かなピークを見分けるために必要なデータ精度も評価しました。データ点が多くても、雑音より上に残る情報は限られます。
どの成分に信頼できる情報が残るかを判断し、スペクトルの特徴を調べるために必要な観測精度を見積もる手段を与えました。
01入力:虚時間τで得る観測 G(τ)横:虚時間τ / 縦:観測 G(τ)
02SVD成分:雑音に埋もれる情報を見分ける横:SVD成分の順 / 縦:成分の大きさ
03残差のλ依存の折れ曲がりから選択横:正則化λ / 縦:残差の大きさ
04残る情報でスペクトルを推定横:周波数ω / 縦:スペクトル強度
正則化λと残差の関係の「折れ曲がり」を手掛かりに選ぶ。
観測から取り出せる情報の量が、復元できる細部を決める
図は観測情報と雑音の関係を示す概念図。細かな構造の復元には入力データの精度が必要です。
量子情報・ランダム系 · 2024
ランダム・テンソルネットワーク(RTN)では、ボンド次元、つまりつながりが持つ状態数によって量子状態の性質が変わります。平均化した量から、対称群の置換を自由度とする統計模型が現れます。
対称群の表現を使うフーリエ変換で、置換模型の分配関数を双対の形へ書き換え。レプリカ法の解析接続と臨界点を見積もる仮説を組み合わせました。
対称群での明示的な双対関係を構成し、正方格子RTNの転移点をボンド次元約1.882と推定しました。群の構造を使って、ランダム系の相転移の位置を調べる方法です。
直接計算が難しい量子系でも、別の表現との関係を使って、性質が変わる境目を見積もる手掛かりになります。
01主対象:ランダム・テンソルネットワーク点:テンソル / 線:結合
02平均化・レプリカで置換模型へ
03群のフーリエ変換で双対表現へ
04ボンド次元の転移点を推定横:ボンド次元 / 黄点:推定転移点
双対性の仮説から、正方格子RTNの転移点を約1.882と推定
掲載版の式(18)–(19)が双対表現、式(20)が臨界点の仮説、式(23)が推定。厳密な転移点は未確定で、数値検証が課題。
MORE DIRECTIONS
量子アニーリング・計算手法 · 2017
QMCの横磁化を、有効横磁場の更新へ戻す ↶
対象は特定のクラスの非stoquastic模型。一般の符号問題を解く方法ではありません。
機械学習・量子ゆらぎ · 2018
複製は周期的に結び、対応する重み同士を結合
古典計算による数値検証。量子ゆらぎを学習法へ取り込んだ構成。
量子アニーリング・材料探索 · 2023
DFTの評価結果を、次の予測模型へ戻す ↶
一つの材料探索事例の結果。候補選択はD-Wave、物性評価はDFTが担当。
数理を深め、現実の問いへ。
大関真之の研究・活動一覧 →PUBLICATIONS
Journal of the Physical Society of Japan 95 (10) 104706 (2026) DOI
Performance Evaluation of Ising and QUBO Variable Encodings in Boltzmann Machine Learning
Journal of the Physical Society of Japan 95 (10) 104006 (2026) DOI
Maxwell’s Demon in Markov Chain Monte Carlo: Cooling Information Flow and Entropy Balance
Journal of the Physical Society of Japan 95 (10) 103001 (2026) DOI
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やりたいことに向かって自分でアクションを起こせる人・起したい人に向いています。それに対して教員は全力でプロデュースおよびプロモーションをします。
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2022年度より政府より量子ソリューション拠点に認定され、その頃から継続的に実施している公開伴走型生配信授業QX4Uシリーズに対して、文部科学省のQ-leap(2021-2023年度)、内閣府のPRISM(2023年度)、さらに2024年度より内閣府SIP「量子コンピュータを活用した新事業を共創する研究開発基盤」及び内閣府BRIDGEプロジェクト「量子プロダクト事業化推進プラットフォーム構築事業」に採択され、支援を受けています。他にも科学研究費補助金はもちろん、各省庁の支援を受けたプロジェクト活動を行っております。これらを原資として量子人材の育成、量子ソリューションの開発において世界で随一の研究グループとなっております。