ペルー 開催レポート
QI4U in Peru 2026(2026年3月11日 - 3月13日)
ペルーにてQI4Uワークショップを開催しました(3/11–13)
現地の学生たちとともに、量子・最適化・社会課題をつなぐ3日間に
2026年3月11日から13日にかけて、ペルーにてQI4Uワークショップを開催しました。
本イベントでは、量子アニーリングや数理最適化の基礎に触れながら、参加者自身が社会課題をテーマにアイデアを形にし、最終発表まで取り組みました。
当日は機材や配信面でのトラブルがあり、さらに開始直後は参加者の集まりも思うように進まず、運営としては緊張感のあるスタートとなりました。
そのため、まずは開始時間を調整してオープニングを実施し、その後に大関先生の講義を開始しました。講義が始まると、会場の空気は一変し、参加者の皆さんが集中して耳を傾けていたのが印象的でした。
1日目:熱気あふれる講義と議論の立ち上がり
レクチャーの中で「量子とは何だろう?」という問いを投げかけると、参加者たちは自分たちで活発に議論を始め、非常に詳しく意見を交わしてくれました。
一方で、その議論がスペイン語で大いに盛り上がったため、そこから英語での議論へ切り替えてもらうことには苦労する場面もありました。とはいえ、それだけ参加者が主体的に考え、言葉にしてくれていたことの表れでもあり、初日から会場の熱量を強く感じることができました。
その後、フラストレーションを含むQUBOの最適化問題に取り組んでもらうと、参加者同士の議論がさらに活発になり、会場全体がとても賑やかな雰囲気に包まれました。
次のセッションではJICAの早川さんにお越しいただき、講演を行っていただきました。活動のスケールや関わる領域の広さは想像以上であり、運営側にとっても大きな刺激となりました。
参加学生も自分たちの国が関わる問題に興味津々でした。
午後には、量子アニーリングと数理最適化に関するレクチャーを実施しました。加藤くんの講演では、会場全体を巻き込んだ双方向的やり取りで数理最適化について学べる時間となりました。
さらに、こちらが教えていない罰金法を自ら考え出す参加者まで現れ、その柔軟な発想力には驚かされました。
初日の最後には、PUCPの団体であるEQUIPUのメンター、イリナさんによるアイスブレイクとブレインストーミングのセッションが行われました。
続いて、ペルーでロボット事業を展開しているセバスチャンさんにもご講演いただきました。
実はこの講演は開催前日の調整でようやく実現したものでしたが、参加者にとって非常に刺激的な機会になったと感じています。
その後のグループワークでは、それぞれのチームが自由にアイデアを出し合い、2日目以降のプロジェクトに向けた土台をつくっていきました。
2日目:定式化と開発に挑んだ実践の日
2日目は、アイデアを具体的な問題として定義し、実装へ落とし込んでいく日となりました。
特に定式化の作業は簡単ではなく、多くのグループが苦戦していました。どのような変数を置き、何を目的関数とし、どのような制約を入れるべきかを考える過程は、最適化を学ぶうえで最も重要である一方、最も難しい部分でもあります。
そのような中でも、相互作用を取り入れた定式化を何とか組み上げ、Simulated Annealing(SA)で解く意味のある問題へと発展させることができました。
そして、中間発表を行い、その後EQUIPUのJosephさんからプレゼンに関するレクチャーを頂きました。学生たちはさらなる伝わりやすいプレゼンの作成に活かそうと講義を集中して聞いていました。
そしてラストスパートのグループワークでは、SAの実装を進めるメンバー、フロントエンドを開発するメンバー、発表資料を作成するメンバーなどに役割を分担し、協力しながら開発を進めていました。技術的な難しさに向き合いながらも、チームとして前に進もうとする姿がとても印象的でした。
3日目:社会課題に向き合った最終発表
最終日は、発表に向けたラストスパートから始まりました。
各チームとも最後まで合同で編集や調整を続け、限られた時間の中で何とか発表に間に合わせようと粘り強く取り組んでいました。
そして迎えた最終発表では、各グループがそれぞれ異なる社会課題に対して最適化の視点からアプローチを提案しました。
- グループCは、治療キャンセルを減らすための最適化、
- グループDは、渋滞解消のための信号の最適化、
- グループBは、医療の効率化に向けた医師と患者のスケジュール最適化、
- グループAは、スキンケア製品の最適化、
というテーマに取り組みました。
どの発表も、それぞれの関心や問題意識が反映された興味深い内容でしたが、優勝はグループAとなりました。
グループAは、扱っているテーマのユニークさに加え、定式化まで踏み込もうとしていた点が高く評価されました。
最後は全員で集合写真を撮影し、3日間のワークショップは無事終了しました。
参加者の主体性と創造性に支えられた3日間
今回のワークショップでは、技術を「教える」だけでなく、参加者が自分の言葉で考え、議論し、形にしていく姿を数多く見ることができました。
言語の壁や運営上のトラブル、定式化の難しさ、準備など含めて決して平坦な3日間ではありませんでしたが、それらを乗り越えながら会場全体で目に見える成果物を作っていけたことは、大きな成果だったと感じています。
ご参加いただいた皆さま、講演や運営にご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
今後もこのようなイベントを通じて、量子アニーリングや最適化をより身近に感じてもらいながら、社会課題に挑戦する仲間を増やしていきたいと思いました。