東北大学工学部オープンキャンパスと同日程に「Quantum Meeting for You, The Third Session in Quantum Universe」を開催しました
2026年7月29日・30日の2日間、東北大学工学部オープンキャンパスと同じ日程で、別イベントとして「Quantum Meeting for You, The Third Session in Quantum Universe」を開催しました。
本イベントでは、人材育成の一環として量子アニーリング・量子コンピュータ体験会、大関研究室の学生を中心とした招待講演とポスターセッション、「実践的量子ソリューション創出論」の成果発表会を実施しました。
本レポートでは、盛りだくさんの2日間の様子をお届けいたします。
東北大学で量子を操ってみよう!
応物系3号館の303号室を会場に、「東北大学で量子を操ってみよう!」と題し、量子アニーリングや量子コンピュータを実際にプログラミングで動かしながら学べる体験会を開催いたしました。
例年人気の体験会であるため、今年はより多くの方に体験いただけるよう、専用の会場を設けて終日開催いたしました。
量子コンピューティングという分野を身近に感じてもらうことを目指し、楽しみながら学べる題材を担当者が工夫をこらして準備しました。プログラミングがわからない初心者の方でも楽しめるものとなっており、体験で作成した結果はシールにプリントしてプレゼントいたしました。
オープンキャンパスに来場された高校生や保護者の方を中心に、小学生から大人まで多くの方に体験いただき、2日間とも大盛況でした。
高校生・高専生、大学生、社会人を対象とした量子コンピューティング講座「QX4Uシリーズ」から生まれたライブデモアプリを体験できるコーナーもあり、こちらも多くの方に楽しんでいただけました。




体験の内容
量子アニーリング体験
- 量子アニーリングを用いたフォトモザイクアート!
- ターゲット画像を選ぶと、自動でモザイクに
- どのように最適化されるかを体験
- 量子アニーリングでサッカーワールドカップのグループ分け最適化!
- 48チームを8グループに分けて、レベルのバランスが取れたグループ分けを目指す
- 一番良いスコアを出すゲーム形式で挑戦
量子コンピュータ体験
- 実際に近い量子回路をプログラミングして体験!
- 量子ゲートを組み合わせて回路を作成
- 量子の重ね合わせやもつれを体験
- サンプリングで意図したアートを作成!
- 量子コンピュータで確率的にサンプリング

招待講演・ポスターセッション
応物系3号館の408号室、410号室では、2日間にわたって研究室紹介、招待講演・ポスターセッションを開催いたしました。
ご来場くださった方には、来場記念グッズをプレゼントするとともに、大関研究室の活動をご紹介しました。
以前より大関研究室をご存知で、興味があってご来場くださった方の中には、研究内容や進学について熱心に質問される方も多くいらっしゃいました。
また、入り口に飾られた大関教授の等身大アクリルスタンドと一緒に、記念撮影される方も見受けられました。
大関研究室を事前にご存知なく、当日お立ち寄りくださった方も多く、「大関教授のYouTubeチャンネル」や「量子コンピューティング」、「EXPOでの海外ワークショップの活動」のご紹介をすると、非常に興味を持って聞いてくださる方がたくさんいらっしゃいました。




研究室紹介を聞いていただいた後には、気になる研究のポスターセッションや招待講演を自由に見ていただきました。
大関研究室というと、YouTubeチャンネルでの配信やイベントなどから、量子コンピューティングの研究を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、情報統計力学やスパースモデリングなど、研究の分野は量子に留まらず、研究室のメンバーも多種多様なテーマに取り組んでいます。
そんなメンバーの研究内容をより詳しく紹介し、今後の研究や進路を考えるきっかけとしていただけるよう、招待講演とポスターセッションを開催いたしました。オープンキャンパスに合わせ、それぞれの研究について、高校生でもわかりやすいように工夫をして語ってくれました。
ポスターセッションは、研究内容をまとめたポスターを見ながら、研究者本人から説明を聞いたり、自由に質問したりできる交流形式の発表の場です。メンバーが研究内容を一つひとつ丁寧に説明し、多くの来場者が興味深そうに耳を傾ける姿が見られました。 高校生や保護者の皆さまからは、研究に関することだけでなく、進学に関する疑問や実際の大学生活についても多くの質問が寄せられ、研究室メンバーとの活発な交流が行われていました。


招待講演は、登壇者が大きなスクリーンにスライドを映しながら研究内容を紹介し、来場者のみなさんには客席に座って聴いていただく形式で行いました。
講演にご案内する際、「難しそう」という印象からか、入場をためらう高校生の姿も見られました。そこで「高校生向けにわかりやすい内容になっています。わからなくても大丈夫なので、雰囲気だけでも体験してみてください」とお声がけすると、安心して参加してくださる方がほとんどでした。
普段の学会発表では、数式を多く用いたスライドも珍しくありませんが、本イベント向けにメンバーが作成したスライドは、概念やイメージを説明するわかりやすい構成で作られているものばかりで、ためらっていた高校生も、最後まで真剣に聞いてくださいました。
質疑応答も行われ、招待講演の会場でも活発な交流が見られました。招待講演・ポスターセッションの演題は、イベントページでご紹介しております。










二日目の午後には、用意した来場記念グッズがすべてなくなるほど、本当に多くの方にご来場いただきました。
進学を考えている方にも、「大学ではこんな研究もできるんだ」「研究発表はこんな雰囲気なんだ」と、実際の研究室を身近に感じていただけたのではないでしょうか。
急遽、先生による座談会も開催
1日目の招待講演の後には、大関真之教授、奥山真佳助教、人見将助教の3名による、「大関研究室の先生による座談会」が急遽開催され、普段なかなか聞くことのできない研究者の日常や、研究生活にまつわるエピソードなどが語られました。
予定にはなかった座談会でしたが、会場は大いに盛り上がり、偶然その場に居合わせた来場者の皆さまにも楽しんでいただけました。


実践的量子ソリューション創出論 成果発表会
2日目には、川内北キャンパス マルチメディア教育研究棟 マルチメディアホールにて、「実践的量子ソリューション創出論」の受講生による成果発表会が開かれました。
「実践的量子ソリューション創出論」は、課題提供企業様と受講生がそれぞれの課題・知見を持ち寄り、実社会の課題を数式に翻訳し、量子コンピュータを解決手段として実際に用いる実践的講義です。
4月から進めてきた講義でのグループごとの取り組み、課題解決のソリューション提案の発表が行われ、課題提供企業の皆さまや受講生、一般来場者など、多くの方にお越しいただき、大変盛況な会となりました。
大関教授の講演
大関教授の講演では、量子コンピュータについて、省電力性や高速計算の可能性、原子・分子の学術研究での活用が期待されること、現在はアニーリング方式とゲート方式の二つがあることが紹介されました。 そのうち、人材育成の面から「最適化問題」と言われる課題解決に使える技術がわかりやすい点、日本から生まれた技術を応援する点でも、量子アニーリングに注目したことが語られました。
さらに、過年度までの受講生のその後について紹介があり、その中で、会場にお越しくださった方へのプレゼントとして、非公開の研究成果なども紹介されました。皆さん熱心に聴講してくださいました。


成果発表
本年度の「実践的量子ソリューション創出論」は2つの大学で、それぞれ学部生向け・社会人向けの講義が実施されています。
- 東北大学の全学部生が受講できる全学講義
- 熊本大学の学生が受講できる教養講義
- 東北大学の社会人向け講義「履修証明プログラム」
- 熊本大学の社会人向け講義「履修証明プログラム」
詳細は「実践的量子ソリューション創出論」のページをご参照ください。
2026年4月からの約4ヶ月間、講義やグループディスカッションを通して、企業様の課題を解決するソリューション創出を目指して学んできました。
今回の発表会では、東北大学の全学講義と社会人向けの履修証明プログラムから、合わせて14グループが発表を行い、それぞれが工夫をこらした発表となりました。
「量子コンピュータの講義の発表会」と聞くと少し難しく感じますが、企業様から実際の課題をご提供いただく本講義では、私たちの身近な課題をテーマに扱ったものも多く、ご来場の皆さまにも楽しんでいただける内容となりました。
例えば、IT学習プランを性格特性を考慮して提案する「性格特性に基づくIT学習適性の最大化」や、動物園のプロモーションをフォトモザイク作成で手助けする「量子アニーリングを用いた動物写真モザイク動画生成による動物園プロモーション手法の提案」など、さまざまな課題解決の提案が発表されました。
また、発表の様子は、別会場である応物系3号館 408号室のモニターでも配信され、研究室に足を運んでいただいた皆さまにもご覧いただきました。
受講生のアイデアあふれる発表を、熱心に視聴されている姿が印象的でした。
過年度の受講生の講演も
実践的量子ソリューション創出論は、講義だけで終わらず、希望と発展可能性に応じ、追加検証・共同研究・実証・論文化を継続できるところが特徴です。学部生社会人双方に「Quantum Universe」のプラットフォームより支援しています。
過年度の受講生3名の招待講演が行われ、講義終了後の研究発展や共同研究について紹介されました。
安部央人さんの講演では、昨年度の講義で提案され、講義終了後も研究が進められた「量子アニーリングのサンプリングによる人流予測と看板配置」について紹介されました。 量子アニーリングでは、たくさんある組み合わせの中から「最適な答えを1つ探す」という使い方が主流です。この研究では、量子アニーリングの別の使い方として、さまざまなパターンを生み出し、1つひとつを人の動きとしてシミュレーションするアイデアで検証が進められ、昨年度のオープンキャンパスで実証実験を行い、論文化まで進んでいることが紹介されました。


吉原拓磨さんの講演では、「混合整数二次計画問題に対する拡張ベンダース分解のレプリカ解析」として、量子コンピュータの応用の研究で生まれた新しい計算手法について紹介されました。 さらに、昨年度の講義で提案された「ソフトウェアスケジュール最適化」で残されていた課題にこの手法を応用することで、解決につながったことも紹介されました。


沖澤孝之介さんの講演では、「ワサビ葉の間引き最適化」として、昨年の講義で提案されたソリューションについて紹介されました。 画像データをもとに、どの葉を残し、どの葉を間引くかを定量的に判断する手法について説明されたほか、講義終了後も課題提供企業様とともにワサビ栽培の調査で共同研究が進められていることも紹介されました。


それぞれのユニークなアイデアに、ご来場の皆さまも興味深そうに耳を傾けていました。
次回はあなたも
今回の「Quantum Meeting for You, The Third Session in Quantum Universe」は、東北大学工学部オープンキャンパスとは別に、同じ日程で開催したイベントです。量子コンピューティングにご興味のある皆様と、来年もお会いできることを楽しみにしております。


