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雑談 ​

講義中に挟まれた歴史談、研究文化、講義準備の裏話、質疑の流れを一覧できます。各項目を押すと、講義ノート本文中の該当コラムへ移動します。

1日目: 量子アニーリングの基礎 ​

コラム 1日目 0:12:24-0:16:10 / 0:16:10-0:22:10板書を残すためのYouTube Live

冒頭では、この集中講義を黒板だけで終わらせず、YouTube Liveのアーカイブとして残す意図が語られました。対面の板書講義のよさを保ちつつ、受講者があとから何度も戻れるようにする、という設計です。

コラム 1日目 0:31:36-0:32:32 / 0:32:32-0:33:29量子アニーリングは何を解くために生まれたか

講義では、量子アニーリングを「量子力学のダイナミクスを使って組合せ最適化問題を解くためのアルゴリズム」として導入しています。ここでの主役は、抽象的な量子計算そのものではなく、解きたい問題をエネルギー最小化として読み替える手続きです。

コラム 1日目 0:45:04-0:47:20Ising模型だけが唯一の入口ではない

シミュレーテッドアニーリングの「パラメータをゆっくり変えると低エネルギー状態へ行きやすい」という直観が、量子アニーリングにも流れ込んでいます。ただし、横磁場の強さは大きければよいわけではなく、目的ハミルトニアンのエネルギースケールと合わせる必要があります。

コラム 1日目 0:57:33-1:02:28QAとAQC、同じ絵をどちら向きに描くか

門脇・西森の量子アニーリングでは、横磁場を強くしておき、それを0へ下げる書き方が自然に現れます。一方でFarhiらの量子断熱計算、AQCでは、補間パラメータを0から1へ動かす書き方が前面に出ます。

コラム 1日目 3:03:47-3:05:27「断熱」という言葉の違和感

終盤では、「断熱」という言葉が熱浴のない孤立系にも使われることへの違和感が話題になりました。ここでの断熱は、熱の出入りがないという日常語の意味よりも、ゆっくり変えて励起を起こさないという量子力学の慣習的な意味で使われています。

コラム 1日目 3:49:13-3:52:13QAOAへ渡して1日目を閉じる

1日目の最後には、翌日も13時20分開始、13時ごろから配信開始という案内がありました。大学院講義にYouTube Liveらしい反応が来るという軽い雑談もあり、硬い断熱定理の回が、翌日のQAOAと量子モンテカルロへ少し柔らかくつながって終わっています。

2024大学院講義からの補遺コラム ​

コラム 2024大学院講義 第1回 1:19:00-1:31:00波から運動量を引き出す

一定ポテンシャル中の平面波解から、Compton散乱の実験的感覚を経て、運動量演算子を導きます。

コラム 2024大学院講義 第3回 0:57:00-1:09:00Fourier変換として量子力学を見る

位置表示と運動量表示をFourier変換でつなぎ、閉じ込めによる離散化をFourier級数として読みます。

コラム 2024大学院講義 第4回 1:18:00-1:32:00交換しないことを微分で見る

状態を左右から挟んで作用を確かめ、掛け算と微分の順序差から交換関係を手で確認します。

コラム 2024大学院講義 第2回 1:23:00-1:30:00閉じ込めて二準位を作る

量子井戸や量子ドットの離散準位から二準位を選び、実験の難しさと説明の飛びを埋めながら量子ビットへつなぎます。

コラム 2024大学院講義 第2回 1:39:00-1:45:00超伝導リングから人工スピンへ

周期境界条件と磁束量子の考え方を回路へ移し、永久電流状態を人工スピンとして読む道筋をたどります。

コラム 2024大学院講義 第6回 1:25:00-1:43:00Ising模型を装置として作る

添字付きPauli演算子の省略をほどき、局所場、相互作用、横磁場を巨大な行列を作る装置として読みます。

コラム 2024大学院講義 第7回 0:18:00-0:22:00Landau-Zenerを避けずに読む理由

古典的だが今も避けられない二準位問題として、横磁場、ギャップ、非断熱遷移の関係を立ち上げます。

コラム 2024大学院講義 第7回 1:22:00-1:33:00横磁場が遷移を起こす

位相しか回らない縦磁場だけの運動と、横磁場で状態が混ざる運動を比べ、公式の指数を読む力を作ります。

コラム 2024大学院講義 第9回 1:13:00-1:18:00探索問題で量子加速を測る

ギャップ解析が手で届く標準問題として、探索の $O(N)$ とGrover型の $O(\sqrt N)$ を比べます。

コラム 2024大学院講義 第9回 1:30:00-1:42:00答えとそれ以外に世界を畳む

線形代数の基底選択の自由を使い、正解と非正解の二方向へ巨大な探索空間を畳み込みます。

コラム 2024大学院講義 第10回 0:56:00-0:59:00局所スケジュールでsqrt Nへ

ギャップに合わせて速度を変えると、断熱探索でもGrover型の二乗加速へ到達することを確認します。

コラム 2024大学院講義 第10回 1:09:00-1:22:00森田・西森の定理が講義に出ること

Geman--Geman型の古典的保証に対応するQAの収束定理を、研究プロジェクトの空気とともに読みます。

コラム 2024大学院講義 第11回 0:57:00-1:06:00横磁場スケジュールを微分方程式として解く

複雑な係数を支配次数へ整理し、断熱条件を横磁場の微分方程式として積分します。

コラム 2024大学院講義 第11回 1:05:00-1:15:00理想論と実機の短い時間窓

理想的な長時間断熱極限と、実機でSchrodinger dynamicsが見える短い時間窓の緊張を整理します。

コラム 2024大学院講義 第15回 0:05:00-0:11:00ハバスト祭りから始まる最終回

ハバードストラトノビッチ変換を「ハバスト」と呼ぶ研究室文化から入り、二乗を一次へほどく計算の気分を作ります。

コラム 2024大学院講義 第15回 0:17:00-0:21:00係数を合わせるのも物理である

ハミルトニアンの規格化を、エネルギーの示量性と鞍点法のためのスケール合わせとして読みます。

コラム 2024大学院講義 第15回 0:23:00-0:35:00積分するように見せて、最後は微分する

HS変換、スピン和、鞍点法をつなぎ、離散和を連続変数の停留条件へ移す感覚を整理します。

コラム 2024大学院講義 第15回 1:09:00-1:15:00HopfieldからTransformerを覗く

記憶パターンへの重み付け更新を、query、key、valueによるattentionの直感へつなげます。

コラム 2024大学院講義 第15回 1:32:00-1:36:00対称性を仮定し、破れたら戻ってくる

Trotter方向の静的近似とレプリカ対称解を、コピー添字によらない解として並べて見ます。

コラム 2024大学院講義 第15回 1:23:00-1:36:00 / 1:41:00-1:57:00横磁場を連想記憶にかける

量子Hopfield模型から、横磁場を情報処理の制御パラメータとして見る発想へ進みます。

2日目: QAOA、量子モンテカルロ、p-spin模型 ​

コラム 2日目 0:00:27-0:17:44 / 0:17:44-0:21:37配信前のウォームアップと、集中講義の中日

配信前には、スパースモデリングを料理番組風にたとえる遊びや、QFTをめぐる軽い導入が流れました。全データを律儀に見るのではなく、意味のある成分を選び、ノイズを落とすという発想を、講義前の肩慣らしとして置いています。

コラム 2日目 0:21:37-0:22:34 / 0:22:34-0:26:23大学院講義が3000回近く視聴される違和感

2日目の冒頭では、1日目の配信が大学院講義としてはかなり多く視聴されていることへの驚きが語られました。通常の大学院講義は、受講者が数人から十数人でも珍しくありません。専門的な講義が開かれた形で残ること自体が、研究教育の形を少し変えています。

コラム 2日目 1:55:39-2:23:19QAOAでは、スピンではなく角度を最適化する

講義中盤では、QAOAが量子回路のパラメータを変分する方法として説明されました。探索しているのはスピン配置そのものではなく、目的ハミルトニアンとミキサーをどの順番で、どの角度だけ作用させるかです。

コラム 2日目 2:00:07-2:07:14 / 2:07:14-2:11:00 / 4:31:46-4:33:16鈴木-トロッター分解という名前の重み

鈴木-トロッター分解のところでは、鈴木増雄先生の仕事と、その流れを受けた統計力学の研究文化が語られました。数学的には指数演算子の分解ですが、量子スピン系の数値計算や量子古典対応へ持ち込んだことで、物理の道具として大きな意味を持ちます。

コラム 2日目 2:51:36-2:56:20 / 3:45:03-3:49:29ロケット制御からbang-bang制御へ

Pontryagin原理は、1950年代の制御理論、特に限られた入力で軌道を制御する問題から生まれたものとして紹介されました。物理ではハミルトニアンが与えられて自然に動く、という見方が多いのに対し、制御理論では外からどう入力するかが主役になります。

コラム 2日目 2:45:14-2:51:36 / 4:09:50-4:18:26講義準備の途中で、研究の芽が出る

休憩明けには、講義ノートを準備している途中で別の計算を思いつき、研究ノートのほうが進んでしまった、という裏話がありました。講義をするために整理しているはずが、整理そのものから新しい問いが生まれる、という研究者らしい場面です。

コラム 2日目 0:31:34-0:35:05 / 4:50:06-4:56:58SQAと量子モンテカルロ、呼び名で見える歴史

講義序盤では、最近はSimulated Quantum Annealing、SQAと呼ぶ人が多いが、以前からこの分野にいる人は量子モンテカルロ法と呼ぶことが多い、という軽い世代談がありました。OpenJijなどの文脈から入った人にはSQAという名前のほうが自然で、古くから統計物理で扱っていた人には量子モンテカルロのほうが馴染み深い、という違いです。

コラム 2日目 5:00:00-5:02:08 / 5:02:08-5:10:58stoquastic/non-stoquasticは、単なる専門用語ではない

終盤では、行列要素が確率分布として扱えるかどうかが、量子系を古典的にシミュレーションできるかに関わると説明されました。負の成分や虚数成分が出ると、素直な確率分布へ翻訳できなくなります。

コラム 2日目 5:11:45-5:12:18 / 5:12:18-5:13:43Fokker-Planckへ向けて、3日目へ渡す

予定時刻を少し越えて、2日目は量子モンテカルロ法とstoquastic/non-stoquasticの話で区切られました。翌日はFokker-Planck方程式、虚時間Schrodinger方程式、拡散モデルとの関係へ進むと予告されます。

3日目: 拡散モデルと量子アニーリング ​

コラム 3日目 0:26:09-0:29:21 / 0:29:21-0:35:49物性物理という名前で、方法を統合する

3日目の入口では、この講義が物質そのものだけでなく、方法論のつながりを扱う回だと説明されました。日本物理学会の領域11、情報統計力学、スピングラス、経済物理、ニューラルネットワークなどが並び、物性物理の道具が別分野へ広がる様子が強調されています。

コラム 3日目 0:40:53-0:41:48 / 0:41:48-0:56:24トロッター方向を「何度も測る」感覚で眺める

横磁場が小さくなると、トロッター方向に並んだコピーは強くそろい、測定しても同じ古典状態が出る、という直観が語られました。横磁場が中途半端なときは、コピー同士が相関を持ちながら揺らぐ状態として見えます。

コラム 3日目 2:12:30-2:28:03 / 2:28:03-2:29:24虚時間にすると、確率過程の顔が見える

通常の実時間Schrodinger方程式から時間を虚数方向へ回すと、位相の回転ではなく、エネルギーの高い成分が減衰する式になります。このため、虚時間発展はGibbs-Boltzmann分布や基底状態射影と自然に結びつきます。

コラム 3日目 1:46:27-1:49:17 / 1:49:17-1:51:50情報統計力学から量子アニーリングへ

Hopfield模型やニューラルネットワークの容量解析に、スピングラスのレプリカ法が使われてきた歴史が紹介されました。統計力学者がニューラルネットワークを本気で解析しようとしていた時代が、量子アニーリングの背景にあります。

コラム 3日目 3:23:03-3:24:06 / 3:24:06-3:44:41 / 3:44:41-3:47:41Boltzmann machineから拡散モデルへ

講義後半の主張は、拡散モデルの物理が虚時間量子アニーリングとして読める、というものでした。画像・動画・音楽などの生成を、確率分布をまねる問題として見直します。

コラム 3日目 3:57:53-4:02:33 / 4:02:33-4:19:40 / 4:19:40-4:24:40 / 5:54:43-5:57:40同じ数理構造を見つけたら、知見を輸入できる

逆向き過程では、単に力の符号を反転するだけでは足りず、scoreに対応する項を足す必要があります。講義では、この補正が虚時間量子アニーリングにおける反断熱項に対応すると説明されました。